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【JA愛知厚生連の医師監修】梅雨の時期に急増!水虫の予防と対処法

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【JA愛知厚生連の医師監修】梅雨の時期に急増!水虫の予防と対処法

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水虫は、梅雨の時期から夏にかけて発症しやすくなります。これは、湿度が高く、足が蒸れやすい環境が水虫菌の繁殖を促進するからです。プールや温泉などの共有施設でも感染しやすくなるため、夏のレジャーでは特に注意が必要です。

「自分は大丈夫」と思っていても、感染のリスクは身近なところにあります。水虫について正しい知識を持ち、予防と早期治療につなげましょう。

水虫とは

水虫は「白癬菌(はくせんきん)」という真菌(カビ)によって生ずる感染症です。正式な病名は「白癬」といいます。白癬菌はケラチンという蛋白を栄養源に生きています。ケラチンは皮膚の表面を覆う角層(垢となって落ちる場所)に多く存在するため、白癬菌は皮膚の表面に病変を作ります。毛や爪は角層が変化したものなので白癬菌が感染することもあります。

水虫の種類と症状

1.足の水虫(足白癬)

白癬菌は体のどこにでも感染する可能性がありますが、一番多いのは足です。足の水虫は、足の裏や指の間に炎症や発疹、かゆみが生じるもので、3つの種類があります。

① 趾間型

趾間型は、水虫の症状として一番多いもので、足の指の間の皮が剥けたり、白くふやけたり、ジュクジュクした状態になります。薬指と小指の間にできやすく、かゆみが強いのが特徴です。

② 小水疱型

小水疱型は、足の裏や縁に小さな水膨れが生じ、水膨れが破れると皮がむけてきます。かゆみが強いのが特徴です。

③ 角質増殖型

角質増殖型は、角質が厚くなり、ヒビ、アカギレのように足の裏全体が硬くなります。かゆみが少ないので白癬であることに気づかず放置してしまう人が多く、感染が拡大して爪水虫(爪白癬)を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

2.爪の水虫(爪白癬)

爪が白や黄色に濁ったり、厚くなったり、割れたりする症状が現れます。

3.足・爪以外の水虫

足や爪以外に体・四肢、頭部や顔などに感染することもあります。

① 手の水虫(手白癬)

手のひらや指の間に炎症や発疹、かゆみが生じるもので、足白癬とよく似た症状が現れます。

② ぜにたむし(体部白癬)

顔面・首をはじめ、からだのいたるところに感染します。米粒大の紅色の丘疹ができ、次第に周囲に円状に広がり、炎症やかゆみを伴います。動物からうつることもあるので、ペットが白癬に感染している場合は治療が必要です。

いんきんたむし(股部白癬)

足白癬を放置すると体に広がって起こることがあります。股部周辺に円形~半円状の赤い小さく盛り上がった発疹(丘疹)や膿をもった水疱が現れ、拡大していきます。輪を描いたように辺縁が環状に赤く盛り上がり、輪の内側は治っているかのように見える、特徴的な発疹がみられます(必ずしも環状にならない場合もあります)。

④しらくも(頭部白癬)

白癬菌が髪の毛に感染して発症します。乾燥したうろこ状の発疹が出たり、髪の毛が楕円形に抜けることがあります。

水虫の患者数

日本における水虫(白癬)の患者数については、公式なデータがありません。しかし、疫学調査では、足白癬が増え始める5月には、5人に1人は足白癬があり、また10人に1人は爪白癬があるという報告があります。つまり、日本では2400万人の足白癬患者と1200万人の爪白癬患者がいるということになります。

水虫の治療

白癬は、抗真菌薬と呼ばれる薬剤を使用して治療します。皮膚の角層に感染した白癬は、塗り薬をきちんとつければ、良くなります。しかし角層がかなり厚くなっている角質増殖型や白癬菌が髪の毛や爪に感染している場合は、飲み薬を飲まないと治りません。飲み薬は全ての白癬に有効ですが、副作用や他の薬剤との飲み合わせの問題があるので、医師の指示を守って服用しましょう。

通常の足白癬であれば、塗り薬を毎日つければ、約2週間程度で症状は改善します。しかし、それだけでは白癬菌は完全に消失することなく残っています。多くの患者さんは、自覚症状が消失すれば治ったと思い、治療を中止してしまいます。足白癬の再発を防ぐためにも最低4週間は毎日薬を塗り続けましょう。

薬の塗り方 ワンポイント

足白癬では、自覚症状のない部位にも白癬菌は存在します。自覚症状がない部分も含め指の間から足の裏全体に薬を塗りましょう。

水虫になってしまった時の対処法

水虫になってしまった場合、以下の点に気をつけることが大切です。

1. 早期に適切な治療を受ける

水虫の症状が出た場合は、早めに医師の診察を受け、適切な治療を受けることが大切です。症状を放置しておくと全身にわたって発症する可能性があります。白癬菌が爪に感染すると治療にも時間がかかるので、できるだけ早く対処し症状の範囲を広げないことが大切です。

2. 清潔を保つ

症状の悪化を防ぐためにも、足を清潔に保ちましょう。せっけんを使って優しく洗い、特に足の指の間や爪の周りは汚れがたまりやすいので、丁寧に洗うようにしましょう。また、足をよく拭き、指の間はしっかり乾燥させましょう。

3. 水虫の再発を防ぐ

水虫は再発しやすい病気です。完治したと思っても、再び発症することがあります。水虫が治った後も、日常的に足のケアを行い清潔な状態を保ち、再発を防ぐようにしましょう。

4. 靴の選び方

革靴やブーツ、長靴などの通気性の悪い靴を長時間履き続けないようにしましょう。もし長時間履き続ける場合は、時々脱いで風を通したり、靴を2~3足用意して履き替えるのもおすすめです。可能であれば職場に着いたらサンダルのような風通しのよい靴に履きかえるなど、足を蒸らさない工夫をしましょう。

5. 靴のケア

可能であれば靴を洗いましょう。難しい場合は、濡れタオルで白癬菌のついた垢を取り除き、しっかりと乾燥させることが重要です。靴用の除菌スプレーや除湿剤も販売されているので、必要に応じて活用してみましょう。

6. 家庭内感染を防ぐ

家族にうつさないためにも足ふきマットやスリッパなどを共有しないようにしましょう。白癬菌は、髪の毛やほこり・垢と一緒にごみの溜まりやすいところにもいます。ケラチンを含むアカがあると1年以上生き続けるので、床はこまめに拭き掃除をするなど清潔を保ちましょう。

家庭内に白癬菌を持ち込まないようにするポイント

白癬菌が皮膚に付着し、感染が成立するまで最低24時間かかるというデータがあります。このことから白癬菌が皮膚に付着しても24時間以内に足をきれいに洗えば、感染を防ぐことができます。

銭湯やサウナなど大勢の人が使用する浴場の足ふきマットには、ほぼ100%白癬菌がいると考えた方がよいでしょう。こうした場所を利用した場合は、確実に水気をふき取り、足を十分乾かしてから、靴・靴下を履くことをおすすめします。十分足を乾かす時間がない場合は、家に帰ってからすぐに足を洗いましょう。

水虫(白癬)はとても身近な病気です。感染するとかゆみなど不快な症状も多いので、予防と早期治療が重要です。心配な症状がある場合には、早めに医師に相談しましょう。

参考サイト

日本皮膚科学会 皮膚科Q&A https://www.dermatol.or.jp/qa/qa10/q01.html

監修

JA愛知厚生連 稲沢厚生病院
皮膚科医長 中村 賢人
日本皮膚科学会皮膚科専門医/臨床研修指導医

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