医療・健康・介護情報をわかりやすく発信

With Magazine

低侵襲手術への挑戦~内視鏡手術ロボットダヴィンチ~

特集/最新レポート

低侵襲手術への挑戦~内視鏡手術ロボットダヴィンチ~

  • がん
  • 医療現場
  • 治療

内視鏡手術支援ロボットで患者さんにより負担の少ない手術を

ロボット技術の進歩に伴い、医療現場でもロボットを使用する場面が多くなってきました。JA愛知厚生連では、2013年に海南病院、2021年に安城更生病院、2022年に江南厚生病院・豊田厚生病院(11/4第1症例実施)で内視鏡手術支援ロボットダヴィンチを導入しています。高度な医療を担う大規模4病院すべてにダヴィンチの導入が完了しました。

内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」は、3つの機械で成り立っています。低侵襲技術を用いて内視鏡で複雑な手術を可能とするために開発されました。ロボットを介することで、人の手だけで行うより、より細やかな操作が可能となり、安全で正確に手術を進めることができます。

(1)サージョンコンソール(術者操作部)

(2)ペイシェントカート(ロボットアーム部)

(3)ビジョンカート(助手・看護師用モニタ部)

医師は(1)の3Dモニタで術中映像を確認しながらコントローラーを操作し、(2) のロボットアームの先にある器具と内視鏡カメラを思い通りに動かしながら手術を進めていきます。(3) のモニタは、内視鏡カメラの映像が映し出され、助手や看護師はその映像を見ながらアームの向きや機器の調整を行います。

COLUMN

従来の腹腔鏡手術は、小さな切開創からビデオカメラや手術器具を挿入して、モニター画面を見ながら手術を行うため通常の開腹手術より低侵襲な手術が可能です。しかしその反面、器具の操作には制限があり、画像も平面で奥行きが分からないことから、手術には高度な技術が必要なため複雑な手術は困難でした。この弱点を克服したのが、ロボット支援腹腔鏡手術(ダヴィンチ手術)です。

ダヴィンチ手術の特徴

01 小さい傷口

ダヴィンチでは、1~2cmの複数の穴から内視鏡カメラとロボットアームを挿入して手術を行います。そのため、従来の開胸・開腹手術に比べて、傷が小さく、手術中の出血量も抑えられるため、手術後の回復が早く、体の負担を軽減することができます。

02 精密な動き

従来の腹腔鏡手術の道具は、まっすぐの鉗子を使っていましたが、ダヴィンチの4本のロボットアームは人の手首よりも可動域が広く、熟練の医師の手のような操作が可能となります。手ぶれ補正機能がついているため、より精密な動きを実現します。

03 3D(立体) HD(高解像度)による高倍率視野

従来の腹腔鏡手術では、医師は2次元の画像を見て手術を行っていましたが、ダヴィンチでは、内視鏡カメラで映し出される3次元画像を高倍率に拡大することで、正確な距離感を感じながら手術を行うことができます。

導入時のシミュレーションの様子

ロボットの操作は、製造元の認定資格(certificate)制度を受講した医師しか実施できません。この資格制度は、専門の研修認定施設でのトレーニングがプログラムに組み込まれています。ダヴィンチ手術では、医師はロボットの操作に専念し、看護師・臨床工学技士などの多職種で患者さんやロボットの状態を確認し、チームで手術を進めます。全世界にて使用されているIntuitive Surgical社のダヴィンチは、システムエラーの報告が0.2~0.4%と極めて低くなっていますが、手術スタッフは万が一に備えた訓練も行っています。

▲江南厚生病院で行われたシミュレーションの様子

対象疾患について

現在、前立腺がん・腎がん・食道がん・胃がん・結腸がん・直腸がんなど保険適用となる疾患が増えています。各疾患に対して各病院が順次対応しているため、対象疾患は病院ごとに異なります。また、がんや病気の進行具合や合併疾患の状態によっては別の治療法が良い場合もあるため、患者さんそれぞれの病態にあった手術・治療法を提供しています。

2013年、県内3番目・海部地区に初導入した海南病院

当院では2013年5月にダヴィンチを導入して以来、650件を超えるロボット支援手術を施行してきました。対象となる保険適用疾患も年々拡がり、患者さんにも術者にも優しい手術として、さらに発展していくことが期待されていますが、ダヴィンチがあれば簡単に手術ができるわけではありません。安全な手術を行うために最も重要な手術チームの実力向上に、今後も力を注いでいきたいと考えています。

海南病院 泌尿器科代表部長 窪田 裕樹

各病院のダヴィンチ特設ページ

各病院でダヴィンチ手術に関する特設ページを設けております。下記よりご確認ください。

JA愛知厚生連 SNS

SNSで皆さんの生活に役立つ
医療・健康情報をお届けしています。

  • Instagram
  • facebook
  • LINE 公式アカウント