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\危険な暑さを乗り切るために/ 知っておくべき熱中症予防

健康ひろば

\危険な暑さを乗り切るために/ 知っておくべき熱中症予防

熱中症は、重度になると命にかかわる病態です。予防法を知っていれば防ぐことができ、応急処置を知っていれば救命できます。高齢者・小さいこども・体調不良の方はリスクが特に高いので、適切な知識を身につけて予防しましょう。

熱中症のしくみと主な症状

熱中症は、高温、多湿、風が弱いなどの環境下で起こります。体温を平熱に保つため、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり血液の流れが滞ったりして体温が上昇し、重要な臓器が高温にさらされることでさまざまな症状を引き起こします。

熱中症のしくみ

平常時

環境:適度な湿度・温度

体内:汗の蒸発による気化熱や血管拡張による放熱で体温を下げる

異常時

環境:高温・多湿・風が弱い・急に暑くなった

体内:体外へうまく熱を逃しにくくなり体に熱がたまる

熱中症の主な症状

Ⅰ度
  • 手足がしびれる
  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 筋肉のこむら返り(痛い)
  • 気分が悪い
  • ボーっとする
Ⅱ度
  • ガンガンする頭痛
  • 吐き気・吐く
  • からだがだるい(倦怠感)
  • 意識が何となくおかしい
Ⅲ度
  • 意識がない
  • けいれん(体がひきつる)
  • 呼びかけに対し返事がおかしい
  • まっすぐ歩けない
  • 体が熱い

※Ⅰ度の症状が徐々に改善している場合のみ現場の応急処置と見守りでOK
※Ⅱ度の症状が出現したり、Ⅰ度に改善がみられない場合はすぐに病院へ(周りの人が判断)
※Ⅲ度は、救急隊員や病院到着後の診察などで判断

熱中症になりやすい条件

こんな日は要注意!

  • 気温が高い
  • 湿度が高い
  • 風が弱い
  • 急に熱くなった日
  • その他、日差しが強い、エアコンがない、熱波の襲来など

こんな人は要注意!

  • 高齢者、乳幼児、肥満
  • 持病がある
  • 体調が悪い(寝不足・二日酔い・夏バテなど)
  • 暑さに慣れていない
  • その他、服薬中、脱水状態(下痢・インフルエンザなど)、低栄養など

こんな場面は要注意!

  • 激しい運動
  • 慣れない運動
  • 長時間の屋外作業
  • 水分補給ができない状況

熱中症の種類

労作性熱中症
運動や作業による熱中症で、屋外で発生し、数時間以内に急激に発症することが多い。

非労作性熱中症
高齢者などに多い熱中症で、屋内で発生し、数日以上かかって徐々に悪化することが多い。

高齢者が熱中症になりやすい理由

① 体内の水分が不足しがち
 ➡汗をかくと脱水になりやすく、回復しにくい

② 暑さに対する感覚機能低下(のどの渇きや暑さを感じにくい)
 ➡水分摂取が遅れる

③ 加齢により身体の調節機能が低下している(汗をかきにくく、体温調整しにくくなる)

④ その他(汗をかきにくく、体温調整しにくくなる)
  ・腎臓の機能が低下している
  ・筋肉量が減少している
  ・全体的な食事量が低下している
  ・利尿作用のある薬を服用している方が多い

熱中症患者のおよそ半数は65歳以上の高齢者です。
高齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能やからだの調整機能も低下しているので、注意が必要です。発汗する機会が多くなる夏には、高齢者はのどの渇きが起こらなくても、早め早めにこまめな水分補給を心がけましょう。

※出典:環境省「熱中症保健環境マニュアル」

熱中症を防ぐ4つのポイント

1. こまめな水分補給【飲み水の目安は1.2ℓ】

体内の水分は1日2.5ℓ(食事1ℓ、体内で作られる水0.3ℓ、飲み水1.2ℓ)必要です。こまめな水分補給を心がけましょう。飲み物は冷たすぎる飲み物よりも5~15℃くらいの方が吸収・冷却効果大です!

□ 水分補給のタイミング
のどが渇く前に少しずつ、起床時、毎食後、外出前、運動前、入浴前後、就寝前 等

□ トイレのために水分補給を我慢しない

□ 大量に汗をかいた後は、水分と塩分を摂取

□ お酒で水分補給しない(緑茶やコーヒーも注意)

2. 屋内の暑さ対策

屋内でも熱中症になるため、屋内にいても熱中症対策を行いましょう。

□ 室温は25~28℃、湿度60~75%
 (クーラーや温度計等を活用) 

□ 扇風機やサーキュレーターなどの気流を活用

□ 日差しを遮る・風通しを良くする

□ 濡れタオルを首にまく

〇お風呂の注意点
・入浴前後に水分補給
・40℃以下のぬるま湯で入り、長湯はしない
・シャワーや冷たいタオルで体を拭くことも体温を下げるのに効果的

〇就寝時の注意点
・寝る前には水分補給
・枕元には飲み物を置く
・部屋の風通しを良くする。
・涼しい服装や寝具を使用。
・エアコンを上手に活用。

3. 屋外の暑さ対策

「熱中症警戒アラート」が出ている日は、特に気を付けて行動しましょう。

□ 薄着をする

□ 直射日光を避ける(帽子や日傘)

4. 普段からの体力づくり【筋肉量が少ないと脱水になりやすい!】

熱中症になりにくくするには、普段からの体力づくりも重要です。

□ 自分にあった運動で体力維持
  気温がまだ高くない時期から体力維持に努める

□ 規則正しい生活・食事で体調管理をする
  持病のある方は病気の管理に努める

 

熱中症の応急処置

熱中症を疑われる人を見かけたら、涼しい場所へ避難させて、体を冷やし、水分補給を行いましょう。

自力で水が飲めない、意識がない場合は、ためらわず救急車を呼びましょう!

本記事はJA愛知厚生連広報誌「With」7月号に掲載しています

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