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中日新聞LINKED Another Story #10「家族と会えることで得られる安心感を入院患者さんへ。」

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中日新聞LINKED Another Story #10「家族と会えることで得られる安心感を入院患者さんへ。」

  • 新型コロナウイルス

中日新聞LINKED「新型コロナウイルスとの闘い JA愛知厚生連8病院 820日の軌跡」の取材を通じて、誌面ではお伝えしきれなかった職員の想いをもう一つの物語「Another Story」としてご紹介します。

第10回は「ソーシャルワーカー(社会福祉士)」の物語です。

足助病院 ソーシャルワーカー(社会福祉士):名取 彩実(以下 名取)
インタビュアー:Project LINKED事務局(以下 LINKED)

取材日:令和4年1月17日

LINKED:病院や介護施設では感染対策として面会制限を実施されていると思いますが、高齢者の認知症の進行などが懸念されています。足助病院には長期間の入院ができる介護医療院や地域包括ケア病棟がありますが、何か取り組まれたことはありますか?

名取:当院は長期的な入院の方が多く、ご家族が高齢者である場合も多いです。介護医療院や地域包括ケア病棟では、入院期間は2〜3カ月から長い方だと1年以上という方もいらっしゃいます。短い期間であれば面会できなくても仕方ない面もありますが、長期間会えないとご本人とご家族の精神的不安が増してしまうので、何とかして面会できないか検討しました。ちょうど業務でオンライン会議を始めていたので、同じ仕組みを使えば直接会えなくても声を聞いたり、顔を見ることができるということで、令和2年12月28日からオンライン面会を開始しました。

LINKED:具体的にはどのように実施されたのですか。

時間は平日の14時から16時としました。4つの病棟で時間帯を分けて1回10分、2名までとし、予約制で原則週1回という形で実施しています。場所は、地域連携室の面談室で行っています。予約は、電話か直接来ていただいた時に取っていただいています。介護医療院の場合は、オンライン面会をしてもご本人の意識レベルが悪かったり、認知症があってなかなか会話ができないという方もいらっしゃるので、患者さんがお一人になるようにベッドごと談話スペースに出てきてもらい、ご家族には3~4メートル以上離れたナースステーションの奥からお顔を見ていただいていました。それから、ご家族が遠方だったり、体調不良で来れない場合は、病棟の看護師が携帯電話を使ってテレビ電話をつなぐ対応をしています。

LINKED:面会が実現した患者さんやご家族の反応はいかがでしたか?

名取:オンライン面会を始める前は、患者さんが「家族に捨てられてしまった」とおっしゃったり、ご家族から「おじいさんは元気か心配」、「私の顔を見ればご飯も食べられるんじゃないか」、「一目見させてほしい」などいろいろなご意見をいただいていました。オンライン面会を始めてみると、「声が聞けるだけでもよかった」、「思ったよりも元気だった」、「表情が明るかった」、「いつもは寝てるのに、声をかけたら反応があった気がする」という感想をいただき、お話することももちろん大切ですが、会えることでの精神的安心感は計り知れないと感じました。10分という短い時間ですが、「おじいさん元気そうだね」、「おばあさん元気だったね」というように見れるだけ、会えるだけで安心されていたようです。原則週1回利用できるので、定期的に希望される方は、面会日に次の予約を取っていました。

LINKED:患者さんやご家族にとっては、すごく楽しみになりますね。

名取:定期的に利用している方がすごく多くいらっしゃったと実感しています。

LINKED:電話をつないで差し上げるなど、他の大病院ではそこまで個別の対応はしてあげられないと思いますが、足助病院は手厚いですね。

名取:長期的な入院をしている患者さんの声を、看護師や私たちが直接伺うことがあります。そうすると、オンライン面会ができない方にも何とかできないかという中で、病院が決めたのではなく、スタッフから生まれてきたことから対応するようになりました。これは地域密着の病院だからこそできたことだと思います。

LINKED:その他に取り組まれたことはありますか?

これまでであれば自宅では看取れないけれども、どうしても家族との時間を過ごしたいという方には、短期退院という形で支援を行っています。訪問診察や訪問看護などの在宅サービスを整えて、短期間お家に帰っていただくというものです。ただ、ずっとというのはご家族の負担も大きいので、足助病院に戻ってくることを前提に短期在宅療養の支援というのを実施してきました。

LINKED:地域の在宅サービスとの連携はどのように実現してきたんでしょうか?

名取:カンファレンスや面談に関しては、最低限の人数であれば実施してもよいとなっていたので、最初は電話で相談させていただいて、最終的にはカンファレンスという形で、主治医、訪問看護、ケアマネージャー、家族、私たちが一堂に介して相談を行いました。在宅サービスの医師や看護師はとても協力的で、前向きにやってくださっているので、短期退院を希望された方の思いは叶えられていると思います。

LINKED:そういった調整は大変だと思いますが、患者さんのためにという意識が強いのですね。

名取:距離をとった面会や退院の支援については、「コロナだからだめなのではないか」という意見も社会的にはあると思います。足助病院では、そういった中でもどうすれば次に進めるのかを考える風土があったので、実現できたのだと思います。

LINKED:今回の経験を今後の地域医療にどのように生かしていきたいですか?

名取:短期退院を重ねるうちに、今まで自宅での生活は難しいと思っていた方たちが、自宅に帰ることができるということが分かってきました。今までであれば「病院での看取りでいいですよ」「病院で会えればいいですよ」と言っていたご家族にとっても、「自宅に帰ることができた」というのはとても心に残ることだったようです。コロナ禍の退院支援を通じて、在宅は無理だと思っていた方たちに在宅支援を強化していけば、本当は自宅に帰れる患者さんがいるのではないかと強く感じました。自宅に帰るということは、患者さんやご家族にとっても貴重なひと時で、家で過ごせたあの時があったから「看取った後も整理がついてます」「十分見てきました」という気持ちになることができたのだと思います。ですから在宅にもっと目を向けて、在宅支援をもっと強化したいと思っています。

LINKED:コロナという窮地が、自分たちの可能性も気づくきっかけになったのですね。

名取:地域との連携を強化していけば、可能性は高まると思います。

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