医療・健康・介護情報をわかりやすく発信

With Magazine

中日新聞LINKED Another Story #09「精神科病棟に感染が広がらないことを命題に。」

中日新聞LINKED

中日新聞LINKED Another Story #09「精神科病棟に感染が広がらないことを命題に。」

  • 新型コロナウイルス

中日新聞LINKED「新型コロナウイルスとの闘い JA愛知厚生連8病院 820日の軌跡」の取材を通じて、誌面ではお伝えしきれなかった職員の想いをもう一つの物語「Another Story」としてご紹介します。

第9回は「ソーシャルワーカー(精神保健福祉士)」の物語です。
稲沢厚生病院 医療ソーシャルワーカー(精神保健福祉士):神戸 昭人(以下 神戸)

インタビュアー:Project  LINKED事務局(以下 LINKED)

取材日:令和3年12月24日

LINKED:神戸さんは精神保健福祉士として精神疾患を持つ方たちのサポートをされていると思いますが、精神科病棟においてコロナ前と大きな変化ありましたか?

神戸:当院は精神科病棟を持つ総合病院ということで、精神疾患だけでなく身体合併症の治療を行っており、外部医療機関からの入院受け入れも行っています。当院の精神科病棟は閉鎖病棟といって入口に鍵がかかった病棟ですので、病棟内で感染症が発生すると一気に広がる恐れがあります。スタッフもかなり注意して対応していますが、入院される全ての患者さんを対象にコロナのスクリーニング検査を行うことになりました。外部医療機関からご来院いただく場合は、依頼元の医療機関での検査をお願いしましたが、医療機関によって状況も様々だったので、我々ソーシャルワーカーが内科のドクターと相談しながら患者さんご本人の情報収集やスクリーニング検査の調整を行いました。当初は入院受け入れが1~2日遅れることもありましたが、現在はスクリーニング検査を事前に依頼元の医療機関で実施していただいて、スムーズに受け入れができています。

LINKED:スタッフの皆さんがものすごく気を遣われたということですが、どのような取り組みをされたのでしょうか?

神戸:精神科だからというわけではなく、厚生連全体で職員に対して「医療従事者であることを肝に命じて行動するように」という指針が示されています。人が集まる場所に行くこと避けるのはもちろん、毎日検温を実施して少しでも熱がある時は出勤を避けるなどの対応は全職員がしていたと思います。特に当院の精神科は閉鎖病棟ということもあり、少しでも体調不良があれば病棟に出入りをしないなど対策を徹底しています。

LINKED:精神疾患を患っておられる方への対応で特別なご苦労はありましたか?

神戸:当院の精神科外来には「精神科デイケア」というリハビリテーション施設があります。そこに通っている利用者さんはマスク着用の習慣がない方が多く、当院の感染委員の協力を仰ぎながら、かなりの頻度で周知を行いました。コロナ以前からインフルエンザ等の感染対策を実施してきましたが、引き続き1日2回の検温とマスク着用・手指消毒の徹底を利用者さんにお願いしました。普段の習慣がないことを習慣化していただくのに非常に時間がかかったと思います。

LINKED:コロナ禍となり、患者さんから今までなかったような相談はありましたか?

神戸:ご自宅で過ごす方が増える中で、精神疾患、精神状態が悪化して、うつ病や不眠症状のある方の受診が増えたように思います。家族や関係機関からの相談も増えているので、もしかするとコロナ禍が精神科受診のきっかけになっている人が多いのかもしれません。精神疾患の方は春先に調子を崩されることが多いのですが、季節に関係なく患者さんが増えている印象を受けます。

LINKED:年間を通して患者さんがいらしていたのですね。

神戸:外来患者さんの受診の波が変わってきたと思います。入院患者さんも月によって差がありましたが、今年度は常に患者さんがいらっしゃいます。近隣の医療機関からの依頼も定期的にありましたので、今の社会の空気感を受けて調子を崩す方が非常に多くて、検査をする中で身体疾患も見つかる方が増えていると思います。

LINKED:入院ベッドが不足するようなことはなかったのでしょうか?
神戸:現在は落ち着いていますが、11月までは待機の方が常に5人位いらっしゃって、ベッドが空いたらすぐに次の患者さんに入っていただくという状況でした。外来からの患者さんだけでなく、外部の医療機関から合併症治療にみえる方も非常に多かったです。コロナ以前は待機の方が常にいるということはまずありませんでした。そういう意味では、コロナ禍で患者さんの総数が増えたと思います。

LINKED:コロナ禍において稲沢厚生病院の精神科はどのような役割を担っているのでしょうか?

神戸:精神科病棟を持っている総合病院は、大学病院を除くと当院と豊川市民病院の2病院しかありません。コロナとは関係ないかもしれませんが、名古屋医療センターの精神科病棟が休止してから診療地域が広がっており、名古屋の医療機関など広域からの相談が増えています。普段から連携している病院であれば、先ほどのスクリーニング検査などもスムーズに実施できていますが、やり取りのない病院から依頼があった場合は、なかなかご理解がいただけなかったり、検査に時間がかかって来院が遅れてしまったり、新たな医療機関との連携に苦労しています。コロナ禍のような非常時に対応するには平時の連携が非常に重要だと感じています。愛知県西部の精神科合併症の治療に関しては当院しかないということで、精神科ドクターを中心に積極的な入院受け入れを継続できていると思います。

JA愛知厚生連 SNS

SNSで皆さんの生活に役立つ
医療・健康情報をお届けしています。

  • Instagram
  • facebook
  • LINE 公式アカウント