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中日新聞LINKED Another Story #06「ECMOを用いて重篤なコロナ患者さんの命を救う。」

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中日新聞LINKED Another Story #06「ECMOを用いて重篤なコロナ患者さんの命を救う。」

  • 新型コロナウイルス

中日新聞LINKED「新型コロナウイルスとの闘い JA愛知厚生連8病院 820日の軌跡」の取材を通じて、誌面ではお伝えしきれなかった職員の想いをもう一つの物語「Another Story」としてご紹介します。

第6回は「臨床工学技士」の物語です。

豊田厚生病院 臨床工学室 臨床工学課長:沖島 正幸(以下 沖島)
インタビュアー:Project LINKED事務局(以下 LINKED)

取材日:令和4年1月13日

LINKED:新型コロナウイルス肺炎の治療としてECMO(体外式膜型人工肺)が非常に注目されていますが、ECMOはどのような治療なのでしょうか。

沖島:ECMOは肺と心臓の働きを補助し、生命を維持するための装置で、重症呼吸不全や重症心不全の患者さんに適応されます。新型コロナウイルス感染症では、肺炎が悪化し呼吸不全に陥った患者さんの血液をポンプを使って取り出し、酸素と二酸化炭素の交換を行い、血液を体に戻すことで肺の働きを補助しています。

LINKED:豊田厚生病院では、どのように準備されていったのでしょうか。

沖島:当院では開院当初からECMOを使用していますので、いつでも対応できる状態でした。

LINKED:実際に新型コロナウイルス肺炎の患者さんにECMOを使われたのはいつ頃でしょうか?

沖島:2021年10月です。

LINKED:ECMOが必要となるということは、かなり重篤な状態だったのでしょうか?

沖島:当初からかなり重症であり、人工呼吸器を使用しても血液中の酸素の値が改善されなかったので、その時点でECMOの導入を見据えていました。

LINKED:新型コロナウイルスが未知のウイルスであるということで特別な緊張感はありましたか?

沖島:これまでは重症心不全の患者さんに治療を行ってきましたが、今回は感染症ということで特別な対応をしました。しっかりとした根拠はありませんでしたが、実際に血液を通す材料からウイルスが漏れている可能性があるという報告があったので、各学会からの指針やガイドライン等を参考にして対策を検討しました。

LINKED:ウイルスが漏れるというのは具体的にどういうことでしょうか?

沖島:患者さんの血液を取り出した後に、酸素を添加するための「人工肺」という材料があります。人工肺に血液が通ると血液の成分である血漿(けっしょう)が漏れ出ることがあり、そこにウイルスが含まれているのでないかという報告がありました。

LINKED:それを防ぐためにどのような対策をとられたのでしょうか?

沖島:人工肺にビニールのカバーをかけて、病室内にいるスタッフが感染しないように対策をとりました。また、装置の操作を行う時は防護服を着て病室に入るのですが、機器の動作チェックであれば窓越しにモニターを確認できるようにするなど工夫をしました。具体的には、血液成分の酸素や二酸化炭素を測定する機器があるのですが、それをベッドサイドに設置することによって部屋に入ることなくチェックができるようにし、職員の感染リスクを抑えることにも注力しました。

LINKED:使用後の医療機器のメンテナンスも実施されていると思いますが、何か感染対策はされているのでしょうか?

沖島:医療機器の中にどれだけウイルスが取り込まれるかというところがポイントになります。内部から熱を発生する機器にはファンが設けられており、そこからウイルスが機器の内部に入ってしまうこともありますので、使用した後は72時間空けてから次の人に使うなどの対応をしました。時間については、学会のガイドラインを参考にしました。消毒剤についても医療機器の材質によって使い分けをしています。通常でも機器の清掃は行いますが、より慎重に実施しています。

LINKED:新型コロナウイルス感染症に対するECMOの効果をどのように感じていらっしゃいますか?

沖島:私たちもコロナ患者さんに対してはまだ1例しか経験していませんが、その患者さんが先日ご自宅に退院されたので、改めて効果を実感しています。私たちは患者さんが麻酔で眠っている時に治療に携わるので、元気になられた姿を見ることはほとんどないのですが、直接かかわった職員から患者さんの感謝の気持ちを聞くことができて嬉しかったです。患者さんの声を聞けるというのは、とても励みになりました。

LINKED:コロナ前と比べて、皆さんの仕事の向き合い方が変わってきたところはありますか?

沖島:新しい病気と向き合ったり、他のスタッフが感染しないような部品の構成に変えたりするためには、常に最新の情報を収集し対応していくことが重要だと感じました。実際には勉強会もオンラインに移行しており、直接他の病院の技士と交流することが難しい状況ですが、学会のホームページ等に新しい情報がないか常に確認して、これまで以上に患者さんにもスタッフにも安全な医療を提供していきたいです。

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