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中日新聞LINKED Another Story#05「いち早く正しい情報を届け、共有していく。」

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中日新聞LINKED Another Story#05「いち早く正しい情報を届け、共有していく。」

  • 新型コロナウイルス

中日新聞LINKED「新型コロナウイルスとの闘い JA愛知厚生連8病院 820日の軌跡」の取材を通じて、誌面ではお伝えしきれなかった職員の想いをもう一つの物語「Another Story」としてご紹介します。

第5回は「感染管理認定看護師」の物語です。

海南病院 感染管理認定看護師:藤本 佐希子(以下 藤本)
インタビュアー:Project LINKED事務局(以下 LINKED)

取材日:2022年1月12日

LINKED:藤本さんはどのような立場でコロナ対応をされてきたのでしょうか?

藤本:感染管理認定看護師として感染対策チーム(以下ICT)の中心メンバーとして活動しています。今回のコロナ対応に限らず、普段から感染制御に関する業務を担当しています。

LINKED:具体的にどのように取り組みをされたのか教えてください。

藤本:2019年12月に中国で非定型性肺炎が確認された時から、職員への周知を始めました。2020年1月16日に愛知県で初めての陽性患者が確認され、感染症病棟を持つ当院にも、いつ患者が搬送されてもおかしくない状況でしたので、厚生労働省の発信文書をもとに、疑いや疑似症患者に対しての対応フローや院内での対応方法を職員に周知しました。また、海部医療圏の発生状況をリアルタイムで伝えるなど、職員への情報発信を重要視して活動していました。

LINKED:地域の情報は、どのように収集されたのでしょうか?

藤本:基本的には、保健所との情報共有が主ですが、愛知県のホームページから発生状況を確認していました。県外からも患者さんがいらっしゃるので、愛知県だけでなく三重県や岐阜県の発生状況も確認しながら、感染者数が増加した時には職員の意識を高めるような発信を心がけてきました。

LINKED:そういった中で院内のクラスターが発生しましたが、これはどのような状況だったのでしょうか?

藤本:遡って調査した結果では、面会されたご家族からの持ち込みがあったと推定しています。その他にも、入院前検査では陰性だった方の感染が手術後に判明した方もいらっしゃいました。潜伏期間もあるため、入院前検査を実施したとしても完全には防ぐことができない事例だと思いますが、それらが重なってクラスターが発生してしまったと認識しています。

LINKED:クラスター発生に関する中日新聞の取材で、病院長が本来の役割である救急医療等を守りつつ感染対策を実施することの難しさを語っておられましたが、藤本さんが具体的な感染対策や各部署への指導を実施されたのでしょうか?

藤本:まずは、救命救急センターにおいて救急搬送患者への標準予防策を強化しました。交通事故などで自ら話すことができない救急搬送患者さんがコロナに感染している可能性もあるので、職員の手指衛生や個人防護具の着用などを徹底しました。また、コロナ患者さんの入院診療も行っているので、病棟への標準予防策の周知・指導も行いました。ただ、発生状況の確認や陽性患者さんの受診・入院調整をしながら、私一人で現場への細かな指導をすることはできなかったので、もう1人の感染管理認定看護師や感染担当の看護師に現場の指導を担ってもらっていたというのが現状です。

LINKED:感染管理認定看護師が管制塔として機能しながら、各現場で協力していただいたということですね。

藤本:現場で問題が発生した時には相談は受けますが、対応方法については現場を把握している各部門が検討してくれたので、このような大きな山を乗り越えられたと思います。

LINKED:クラスター発生時の職員の対応をどう思われますか?

藤本:本当によく乗り越えてくれたと思います。もし、「ICTから何も言われなかったからやってませんでした」と職員が言ってしまう病院だったら、早期の収束は難しかったと思います。それぞれの現場でやるべきことを考えて実践し、ICTはその対応が行き過ぎてないか、逆に不足してないかを監視させてもらっていました。

LINKED:平時から地域全体の感染制御に取り組んでこられたと思いますが、今回のコロナ対応で地域に目線を広げた取り組みはありますか?その辺りは、保健所や行政が担っておられるのでしょうか?

藤本:地域への情報発信は、地域連携室やスタッフである医療ソーシャルワーカーが実施してくれました。地域の介護事業所に向けて、院内で作成した海部医療圏の発生状況や個別の感染事例を地域のネットワークに掲載してくれました。また、介護事業所での発生状況は、地域連携室や医療ソーシャルワーカーを通じてICTに速やかに報告する流れを作ってくれたので、救急外来をはじめとする様々な場面で、早急に確認し対応することができたと思います。愛知県の場合、クラスターが発生した事業所にはDMAT(災害派遣医療チーム)が介入し、ゾーニングや運用体制を指導してくださっているので、地域の医療機関からの電話やメールでの相談はありますが、当院から指導に出向くということはありませんでした。

LINKED:海南病院の発熱外来での活動を教えてください。

藤本:当院では基本的に発熱外来は行っていません。地域のクリニックが発熱外来を担い、当院はクリニックに自ら受診することができない患者さんや救急患者さんの診療を担うなど、地域で役割分担をしています。ただ、クリニックが休診の土日祝日に関しては、救急外来で発熱外来に準じた診察を行っています。

LINKED:オミクロン株の感染者数が増加していますが、地域の感染状況はいかがですか?

藤本:感染者の増加がこれまでよりも急速で、海部医療圏ではこの1週間で100人弱発生しています。クラスターが発生している医療機関があって感染者数が増えているというのもありますが、昨日時点の自宅療養者は海部医療圏だけで80人を超えているという情報でしたので、いつ職員が罹患してもおかしくないですし、入院患者さんのご家族が陽性になったと入院後に連絡が入るということも起こりえる状況だと思っています。

LINKED:職員の皆さんの感染リスクが高まっている中で、職員やその家族にも行動制限をお願いしていると思いますが、そういった働きかけは常にされているのですか?

藤本:病院長の意識がとても高く、職員に向けてこまめに情報発信をしています。そういった発信があるからこそ、ICTの活動が行いやすくなっています。この数か月間は感染が落ち着いているとはいえ、いつまた発生するか分からない状況で、職員には息抜きをしてほしいという思いを含めながら情報発信をしてきました。厚生労働省からも蔓延しやすい5つの場面というのが発信されているので、改めてICTでもニュースを発信したり、感染が増えてきた年末や3連休の前には再周知したりしています。

LINKED:海南病院は、ワクチン接種に非常に力を注がれたと伺っていますが、接種会場の感染対策にも関わられたのでしょうか?

藤本:基本的には新型コロナウイルスワクチン接種に関する部会が対応していました。ICTのトップでもある感染制御部長がメンバーになっていたので、情報を共有しながら進めました。

LINKED:これまでの活動を振り返り、気づかれたことはありますか?

藤本:ここまでやってこられたのは、感染制御部長をはじめとしたICTスタッフで日々発生する問題について対応策を検討できたことが大きいです。また、私が新型コロナウイルス対応に追われているなか、日々の業務をこなしてくれていた感染制御室のスタッフや部署の感染対策啓発に取り組んでくれていた感染リンクナースに感謝の気持ちでいっぱいです。職員の理解と協力のおかげで、いつクラスターが起きてもおかしくない感染症と日々向き合っていけると思っています。院内の職員だけでなく、厚生連8病院の感染管理認定看護師とも常に情報を共有し、励まし合いながら活動してきました。それぞれの病院に大きな山があって対応に追われる日々でしたが、情報共有しながら一緒に協力できたので、何とか乗り越えることができました。同じ立場にいる感染管理認定看護師と情報共有できるのは厚生連の良いところだと思いました。

部署単位で配置される感染対策担当看護師

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