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中日新聞LINKED Another Story #04「感染予防を徹底し画像診断体制を守り抜く」

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中日新聞LINKED Another Story #04「感染予防を徹底し画像診断体制を守り抜く」

  • 新型コロナウイルス

中日新聞LINKED「新型コロナウイルスとの闘い JA愛知厚生連8病院 820日の軌跡」の取材を通じて、誌面ではお伝えしきれなかった職員の想いをもう一つの物語「Another Story」としてご紹介します。

第4回は「診療放射線技師」の物語です。

海南病院 診療放射線室 一般撮影係長 :住田 知隆(以下 住田)
インタビュアー:LINKED 事務局(以下 LINKED)

取材日:2022年1月12日

LINKED:新型コロナウイルス肺炎の診断の過程で、CT撮影が大きな役割を果たしてきたと思いますが、これまでどういった取り組みをされてきたのか教えてください。

住田:実は、僕が学生の頃は学校で感染対策について学ぶ機会がほとんどありませんでした。そのため最初に陽性患者さんを受入れるとなった時、どういうふうに対応すればよいのかというところから考えました。最初は情報が全くなく、未知の病という感じでした。僕は救急系の診療放射線技師とネットワークがあったので、情報収集をしてみると、各病院でいろいろな取り組みが紹介されていました。最初に取り組んだのがスイッチの保護でした。CT装置にはたくさんのスイッチがありますが、プラスチック製なのでアルコール消毒を頻回にすると劣化してしまいます。それをどうやって保護していくかに皆さん苦労されていました。最初は、普通のビニールシートで覆ったりしていたのですが、塗装する時に使う養生テープや養生マスカー布テープが使いやすいということで、今はそういうものを使っています。そういう情報を入手するまでは、本当にどうしたらよいか分かりませんでした。

LINKED:試行錯誤しながら感染対策が少しずつ進化していったということですね。

住田:そうですね。撮影室にはたくさんの備品が置かれているのですが、それらが汚染するのではないかと心配もした時期もありました。今では、そのままでも大丈夫ということが分かってきたのですが、当院では細心の注意を払うため、しっかり保護するようにしています。

LINKED:なるほど。

住田:防護服については、当初はスタッフも慣れていなかったので、防護服を着るという行為自体が苦痛になっていました。それではいけないということで、早く慣れることができるように繰り返し練習を行いました。手袋やガウンを着けるのも全部ルールがあって、それらを全部覚えてもらうために何度も訓練しました。その甲斐もあって、当院の技師で感染した人は1人もいません。

LINKED:機器類が感染源になることも、スタッフの感染も防がなくてはならないということで、皆さんものすごく気をつけてこられたのですね。

住田:注意してましたね。他県の例ですが、診療放射線技師からクラスターが発生して撮影体制を維持できなくなり、結局病院として機能しなくなった事例もありました。その結果、陽性患者さんの受け入れもできなくなってしまったそうです。そういう話を聞くと余計に、憎まれ役になってでも、スタッフへの注意喚起を続けなければいけないと思いました。

LINKED:陽性患者さんの検査の際に気をつけていることはありますか?

住田:陽性患者さんを受け入れると、それぞれの病室にもレントゲン撮影に行くことがあります。陽性患者さんの撮影をした後、すぐに通常の患者さんの撮影に行くこともあるため、しっかり切り替えて行わなければ院内に感染を広めてしまうため、気をつけています。僕以外のスタッフもしっかり理解して行動してくれています。

LINKED:通常の患者さんと陽性患者さんにCT撮影をする場合に、どのように分けていらっしゃるのですか?

住田:入院している陽性患者さんは、予定を立てることができますが、救急患者さんの場合、通常診療の患者さんがいらっしゃる時に依頼されることもあります。少し時間をいただいて、通常の撮影をある程度終わらせて、撮影室に感染対策を施します。撮影後は汚染された部屋になるので、次にその部屋をクリーンにしていきます。きれいにアルコールで拭いて、部屋の空気が完全に入れ替わるまで待って、また通常の撮影に戻しています。

LINKED:陽性患者さんのための部屋の準備とは、先ほどの養生テープや養生マスカー布テープで覆うことですか?

住田:そのとおりです。専用の部屋を建てている病院もありましたが、そこまでやる必要はなく、自分たちが厳密に感染対策をしていれば問題はありません。当院のような限られたスペースでは、専用の部屋を設けることはできないので、環境を整備するという形でやってきました。だから、スタッフの協力が不可欠でした。

LINKED:より高い意識を持って感染対策をされていたことに本当に頭が下がりますね。

住田:スタッフからも、ここ3年ぐらい実家に帰ってないとか、子どもが小さいので家の中で別々で暮らしているとか、陽性患者さんに接した時は玄関で裸になって、そのままお風呂に直行しシャワーを浴びているという話などは聞いています。

LINKED:それだけの高い意識で取り組んでこられたから感染ゼロを維持できているのですね。

住田:ええ。それがスタッフの努力の成果であることは事実だと思います。

LINKED:今、海部地域においてもオミクロン株の感染者が非常に増えてきているということすが、皆さんの中でも緊張感が高まっていらっしゃいますか?

住田:はい。オミクロン株はほとんど肺炎の症状がでないので、CT画像ではよく分からないというのが事実です。僕も何人か患者さんと接しましたが、息苦しさや熱などのつらさはあっても、第4波、第5波と比べると症状は軽い方が多いと思います。特に若い方は元気ですから、「風邪気味だな」ぐらいで終わってしまっている可能性もあると思います。

LINKED:今後についてお伺いしたいのですが、これまでのお話しから、やれることは全てやっているという印象を受けるのですが。

住田:僕らもそういうつもりでやっています。

LINKED:敢えて今後についてお伺いしますが、課題など何か感じておられることはありますか? 住田:オミクロン株のことがよく分からないと言いましたが、もう既に新たな変異株も発見されているという話なので、それがどんな感染経路なのかという情報を早く収集しなければと思っています。実はオミクロン株も空気感染するのではないかという噂が流れていて、もし空気感染だったらこれまでの対応を見直す必要も出てきます。患者さんもスタッフも機械やエリアを共有していて、場合によってはゾーニングが非常に難しくなってくるので、新しい変異株にどのような対応をしていけばよいのかは常に課題です。

LINKED:今後強化したいこととしては、先ほどから出ているネットワークということでしょうか。

住田:個人的なネットワークで情報収集をしてきましたが、やはり地域のネットワークがもっとあってもよいのではないかと思っています。管理職同士のつながりは今でもありますが、今はオンライン会議システムも充実しているので、ICT(情報通信技術)を活用した現場レベルで情報交換ができる仕組みができるとよいと思っています。

LINKED:今回の新型コロナ感染拡大で唯一良い点を挙げるなら、医療分野では少し遅れていた ICTの活用が進んだということでしょうか?

住田:そうだと思います。病院同士のつながりはできつつありますが、クリニックの診療放射線技師とはまだまだです。そういう方たちにも情報を提供できるとよいと思っています。

LINKED:今回は、住田さんが個人的なネットワークで集めた情報が海南病院の感染対策のひとつとして活かされましたが、地域のクリニックの先生、診療放射線技師さんとのネットワークがあれば、即座に地域全体で共有できるわけですものね。

住田:クリニックでも、患者さんの撮影をした後に感染していたことが分かって、対応に苦慮したという事例も聞いています。地域のクリニックの中には発熱患者に対して診療制限をしているところもありましたが、正しい情報があれば感染対策はできるはずです。それをしないで怖がっているだけでは地域の医療が機能しなくなってしまうので、エビデンスのある情報を地域で共有したいと思っています。

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