整形外科                                      

専門分野

股関節外科

 当科は最先端の股関節医療を導入し、患者さんに安心・安定した医療を提供しています。対象疾患は股関節に何らかの障害を有する疾患(変形性股関節症、特発性大腿骨頭壊死症、人工関節障害、関節リウマチなど)で、年齢と疾患の程度により患者さんに最も適した治療を選択しています。
 主な手術術式としては、傷んだ股関節を新しい関節に入れ替える人工股関節置換術(total hip arthroplasty; THA)や何らかの原因で緩んだ人工関節を新しい人工関節に入れ替える人工股関節再置換術(revision THA)、そして若年発症の寛骨臼形成不全症や特発性大腿骨頭壊死症に対して行う股関節温存手術(自分の骨を温存する)があります。


 人工股関節置換術(THA)

 我々のTHAは患者さんの日常生活動作を長期に安定させ、スポーツの復帰も目指せる股関節手技となっています。THAは世界で多く施行されている股関節治療の一つで、進行した変形性股関節症(寛骨臼と大腿骨頭の隙間が消失し骨頭が変形する)が確認される中年期以降の患者さんに適応されます(図1)。2008年からは身体への負担を軽減させたMIS(minimum invasive surgery)を導入し、股関節痛の軽減と早期退院に対応しています。

正常な股関節進行した変形性股関節症
 当科のMIS THAは仰向けの体位で前方から筋肉を分けてTHAを行う方法です。皮膚切開は8cm(図2)で、翌日から歩行練習しています。現在までにMIS THA は1200症例を超え、脱臼率0.3%、感染率0.1%と非常に優れた成績を残しております。2014年7月から3Dシミュレーションのコンピュータシステムを導入し、術前から正確な人工関節のサイズと設置の評価がおこなえるようになり、さらに2018年からはポータブルナビゲーションを用いてリアルタイムに人工関節の設置評価ができるようになりました(図3)。このように術前と術中に股関節の評価を行うことによって、THAの精度と成績の向上が期待できるようになりました(図4)。我々は身体への負担軽減と人工関節の正確な設置を第一に心がけて、患者さんが安心・安全に手術を受けられ、早期の社会復帰を行えるよう努めております。

皮膚切開の長さと位置
ポータブルナビゲーション
手術前
MIS THA後

 人工股関節再置換術(revision THA)

 THAから20年以上経過すると約3〜5%の人工関節が緩んできます。人工関節の緩みは痛みや歩行障害だけでなく日常生活にも影響を及ぼすため、revision THAが必要になります。我々がおこなうrevision THAは将来的に、最初のTHAに近い状態になるため、患者様にとって最も合理的かつ理想的な手術になります(図5)。

Revision THA前
Revision THA後

 寛骨臼形成不全症に対する股関節温存手術

 股関節疾患の中で最も頻度が高い変形性股関節症は、股関節の軟骨が擦り減り骨と骨がぶつかり合うことで痛みや変形を生じる疾患です。大腿骨頭を覆っている寛骨臼の被りが少なく、体重を支える面積が小さいために股関節に負担がかかってしまう寛骨臼形成不全が日本人における変形性股関節症の主な原因です(図6)。年齢が比較的若く、股関節の変形が少ない患者さんに対しては、寛骨臼を球状に切り抜き骨頭を覆うように外側に回転させる寛骨臼回転骨切り術を行うことで、正常な股関節と同じように荷重が分散され痛みを改善することができます(図7)。

正常な股関節
寛骨臼形成不全
寛骨臼回転骨切り術前
寛骨臼回転骨切り術後

 特発性大腿骨頭壊死症に対する股関節温存手術

 特発性大腿骨頭壊死症は、ステロイド治療やアルコールの多量摂取などに関連して発症することが多く、大腿骨頭への血流が障害されて骨頭の一部が壊死する疾患です。大腿骨頭の荷重部位に壊死が発生した場合、骨頭が潰れて痛みを発生することが多く、その後股関節の変形が進行してしまいます(図8)。そのため、若い患者さんで関節の変形があまり進行していない場合には、大腿骨を骨切りして前方または後方に回転させる大腿骨頭回転骨切り術を行うことで、壊死部分が荷重のかからない部位に移動し大腿骨頭の圧潰や関節変形の進行を予防することができます(図9)。

壊死部
手術計画
大腿骨頭回転骨切り術

 我々は患者さんが股関節の症状から解放され生活の質を向上できるよう、患者個々にあった安心・安全な股関節医療を行えるよう心がけております。患者さんが股関節の症状で悩まれたり、治療方針に迷われている場合は、決して一人で考えようとせず、当科の股関節外科医にぜひ相談ください。


 2017年 人工股関節手術:178件 股関節温存手術:13件
 2018年 人工股関節手術:188件 股関節温存手術:15件

リウマチ科

 当科では、関節リウマチ(その他、強直性脊椎炎・シェーグレン症候群などの膠原病を含め)を早期に診断し、関節破壊抑制のため抗リウマチ薬・生物学的製剤を積極的に使用し、よりよい日常生活を送れるよう心がけて診療にあたっています。従来の抗リウマチ薬(メトトレキサート、プログラフ、ケアラム、ゼルヤンツなど)に加え、生物学的製剤(レミケード、エンブレル、ヒュミラ、アクテムラ、オレンシア、シンポニー、シムジアなど)の投与も可能であり、年々その適応とされる患者さんは増加しています。他科と連携をはかり、全身管理の上でも充実した治療を心がけています。また、変形性膝関節症など、関節破壊が高度で日常生活が困難となった方を対象にナビゲーションシステムを利用した安全で正確な人工関節置換術や関節形成術も積極的に取り組んでいます。


氏名 役職名 免許取得 認定医・専門医
金村 徳相 副院長兼医療情報部長兼
脊椎脊髄センター長兼
中央手術室部長
昭和63年 日本脊椎脊髄病学会・指導医
日本整形外科学会・専門医
プログラム責任者養成講習会修了
臨床研修指導医講習会修了
緩和ケア研修会修了 
川崎 雅史 整形外科代表部長兼
関節外科部長
平成4年 日本整形外科学会・専門医
日本リウマチ学会・専門医
日本体育協会認定スポーツドクター
日本股関節学会・評議員
日本人工関節学会・評議員
中部整形外科災害外科学会・評議員
義肢装具等適合判定医
臨床研修指導医講習会修了
緩和ケア研修会修了
佐竹 宏太郎 脊椎脊髄センター部長兼
第一整形外科部長
平成6年 日本脊椎脊髄病学会・指導医
日本整形外科学会・専門医
緩和ケア研修会修了
臨床研修指導医講習会修了
藤林 孝義 第二整形外科部長兼
リウマチ科部長兼
リハビリテーション科部長
平成7年 日本整形外科学会・専門医
日本リウマチ学会 指導医・専門医
緩和ケア研修会修了
臨床研修指導医講習会修了
加藤 宗一 第三整形外科部長兼手外科部長 平成15年 日本整形外科学会・専門医
日本手外科学会・専門医
緩和ケア研修会修了
臨床研修指導医講習会修了
伊藤 研悠 脊椎脊髄センター部長兼
第四整形外科部長
平成16年 日本脊椎脊髄病学会
脊椎脊髄外科指導医
日本整形外科学会・専門医
日本整形外科学会・脊椎脊髄病医
石川 喜資 脊椎脊髄センター部長兼
第五整形外科部長
平成17年 日本整形外科学会 専門医
田中 智史 第六整形外科部長 平成18年 日本整形外科学会 専門医
大倉 俊昭 第七整形外科部長 平成19年 日本整形外科学会・専門医
岡本 昌典 整形外科医長 平成21年 日本整形外科学会・専門医
緩和ケア研修会修了
鏡味 佑志朗 医員 平成28年  
平松 泰 医員 平成28年  
中島 良 医員 平成29年  
横山 弘樹 医員 平成29年