腎臓内科                                      

 検尿異常や腎炎の治療のみでなく、腎不全患者の治療まで腎疾患全般に対して診療を幅広く行っています。検尿異常や腎炎患者さんに対しては腎生検等の検査を含め、食事・生活指導や薬物療法などを行います。最近増加している糖尿病による腎臓病に対して腎機能が悪化しないよう、血糖・血圧管理などを含め治療を行っています。 各種疾患により腎機能が悪化された患者さんに対しては、早期から治療を行い、出来るだけ透析療法に入らないように、あるいは不安なく透析療法に移行できるよう指導治療いたします。透析センターでは血液透析、腹膜透析(CAPD)により、慢性腎不全・急性腎不全患者さんの治療・管理、透析合併症の予防・治療、膠原病(こうげんびょう)などの各種免疫疾患や潰瘍性大腸炎などの治療の一貫として、血液浄化(血漿交換・血液吸着等)も行っております。病院内の各診療科や近隣の施設と連携し、患者さんの腎疾患のみでなく総合的に診療を行っております。
 また、腎臓疾患に関しては特定疾患(難病)がいくつかあり、当科においては、月曜日午前を中心に診察・相談を行っております。
 以下に挙げる疾患等が特定疾患にあたります。診察・相談のある方はご来院下さい。

● 1)ネフローゼ症候群

 ネフローゼ症候群とは、尿の中に大量の蛋白質が出てしまい、それに伴って血液中の蛋白質が減少するため、浮腫(ふしゅ・むくみ)、血液中のコレステロールなどの脂質の上昇等が現れる病気です。
 この症候群はいろいろな腎臓の病気によって起こり、原因疾患はひとつではありません。腎臓自体に病気が起こりネフローゼ症候群となる一次性(原発性)ネフローゼ症候群と、糖尿病腎症や膠原病、アミロイドーシスなどの全身の病気の随伴症状としてネフローゼ症候群が起きる二次性(続発性)ネフローゼ症候群に分けられます。15歳以下の多くは、微小変化型ネフローゼ症候群が原因となりますが、50歳以上になると膜性腎症が原因疾患としてあげられます。


●原 因

 血液を濾過して尿を作る部分(糸球体基底膜)の障害により、本来もれ出ることのない高分子蛋白質(主としてアルブミン)が尿中にもれ出してしまう状態です。蛋白尿により多くの蛋白質が体内から失われると、低蛋白(アルブミン)血症になります。浮腫の原因としては、尿中に大量の蛋白質がもれ出すことにより引き起こされる、血管内に水分を保つ力(血漿膠質(けっしょうこうしつ)浸透圧)の低下や循環血漿量の増加などが考えられます。


●症 状

 顔や手足にむくみが認められます。時に全身浮腫が著しくなり、胸部や腹部に水がたまる(胸水、腹水)こともあります。尿が出にくくなり、腎機能の障害や血圧の低下を認めることもあります。  また、ネフローゼ症候群の患者さんの血液は凝固しやすい状況になるので、腎静脈や下肢深部静脈に血栓症を起こすことがあります。  夕方になると靴下の跡が残ったり、体重が朝より1kg以上増えていたり、尿の泡立ちが気になるような人は、まずご相談下さい。

● 2)多発性嚢胞腎(ADPKD)について

 進行性の病気です。腎嚢胞の数が増加や嚢胞が大きくなることにより、正常な腎臓の組織が減少する為、腎臓の機能が低下していきます。この疾患は、殆どが常染色体優勢遺伝で、家族内に遺伝する疾患です。


 30~40歳代までは、多くの人が無症状です。腎機能は徐々に悪化し、70歳までに約半数は末期腎不全になります。末期腎不全とは、血液透析・腹膜透析・腎移植の何れかを受けなければ生命を維持できない状態をいいます。 病気の発症や末期腎不全になる年齢などは個人差が大きく、同一家系内でも異なります。正常な腎臓は表面がつるつるして、大きさはこぶし大です。病気が進行すると表面は凸凹になり、大きさは数倍になります。嚢胞は感染や出血を起こし、疼痛(腹痛・腰痛)、血尿を伴うことがあります。また、腎臓や肝臓の嚢胞が大きくなると、腹部膨満を感じます。著しく進行すると、食欲不振などで栄養状態が悪化します。

※ADPKDは、肝嚢胞を合併することが多く、それも腹部膨満の原因にな ります。また、遺伝性の病気(常染色体優性遺伝)であり、両親のどちらかから変異を持つPKD遺伝子を受け継いでいると、性別に関係なく遺伝する病気です。


● 嚢胞はどのようにできるの?

相関図 腎臓には尿をつくるうえで重要な役割を果たす尿細管という管があります。この管の太さを調整する機能を持つ「PKD遺伝子」に変異が起こると尿細管が拡がって嚢胞になっていくと考えられています。 患者さんは両親から、「変異を持つ遺伝子」と「正常な遺伝子」を受け継いでいます。尿細管細胞のうち、「正常な遺伝子」にも変異(体細胞変異)が起こることにより正常な機能を完全に失った細胞から嚢胞ができはじめます。その年齢には個人差があります。


●治療法

 この病気はこれまで特異的な治療法はなく、高血圧や腎不全に対する対症療法(水分摂取をできるだけ行うこと、降圧剤を工夫すること等)しかありませんでしたが、2014年3月にトルバプタンという薬が世界で初めて認可されました。トルバプタンは、この病気の進行を抑えることができる可能性がある薬です。この薬を始める際には2泊3日~3泊4日程度の入院が必要です。この薬は、値段が比較的高い薬ですが、高額医療制度や付加給付金制度などの補助制度もあります。ご希望の方には当院の患者相談支援センターへ御相談の手続きをとらせていただきます。

※トルバプタンはどの医療機関でも処方できる訳ではなく、登録医のみ処方 することができます。なお当院には現在4名の登録医がおります。

● 3)IgA腎症

 糸球体に慢性的な炎症が起こるために、血尿・蛋白尿を認める疾患です。慢性糸球体腎炎は、広義ではネフローゼ症候群をおこす疾患を含む一次性の糸球体腎炎をすべて含みますが、ここでは腎症を中心に説明します。
 本来は生体を守るべき免疫物質の一つであるImmunogloburin A(免疫グロブリンA)の略です。感冒や扁桃腺炎などによりこの違うタイプが出現し、腎臓の糸球体に沈着し炎症を起こすことにより、血尿や蛋白尿が出現する慢性の腎炎です。
 比較的若い方に多い疾患ですが、あらゆる年代でみられます。


●症 状

 ほとんどが無症状で検診を契機に発見されることが多いのですが、扁桃腺炎などに罹った後にみられる肉眼的血尿で見つかることもあります。 まれにネフローゼ症候群や急速進行性糸球体腎炎で発症する方もいます。


●検査所見

 尿検査では、血尿と蛋白尿を認めます。発症初期には蛋白尿を認められないこともありますが、血尿は炎症の強さを反映するともいわれており、重要な徴候です。腎機能は正常の方がほとんどです。


●診 断

 確定診断には腎生検が必要です。腎生検では、糸球体のメサンギウム領域の細胞増殖(図1)と糸球体メサンギウム領域の免疫成分の一種である補体のC3の沈着を認めます(図2、免疫染色)。
 現在、当腎臓内科は日本腎臓学会研修施設、日本透析医学会認定施設に登録されております。


専門分野

  • たんぱく尿・血尿など尿検査異常
  • 腎機能異常・電解質異常
  • 急性腎不全・慢性腎不全
  • 糖尿病性腎症
  • 膠原病など各種免疫疾患
  • 薬物中毒など

腎臓内科の指針

  1. ア.急性球体腎炎や慢性糸球体腎炎などによる尿検査、腎機能異常患者の検査や治療をする。近隣の医療施設との連携において腎臓病患者の治療を行います。また、必要な患者には腎生検等の検査を行います。平成28年度の腎生検は48症例でした。
  2. イ.糖尿病性腎症など保存期腎不全患者の腎機能悪化の予防・抑制のため指導・治療を行います。なお、慢性腎不全の透析導入患者は平成28年度で62症例でした。
  3. ウ.膠原病など各種免疫疾患・潰瘍性大腸炎などの治療の一貫としての血液浄化を行います。平成28年度は、難治性ネフローゼ症候群、家族性高脂血症 1症例、潰瘍性大腸炎及びクローン病18症例、形質細胞腫などへの血漿交換3症例などに対する血液浄化を行ないました。
  4. エ.急性腎不全・慢性腎不全患者のための血液透析治療を行います。現在、月水金2シフト、火木土1シフトにて血液透析治療を行い、計110名強の慢性腎不全患者の管理を行なっています。平成28年度の急性腎不全患者は約65名で、内20名の患者に血液透析を行いました。また他施設の透析患者の入院治療を85名行いました。
  5. オ.慢性腎不全患者のための腹膜透析治療を行います。平成28年度の腹膜透析患者導入は15症例で、総数66症例の患者の管理を行なっています。
  6. カ.慢性腎不全患者の血液浄化のためCAPDカテーテル留置、(外科)出口部作成内シャント作成などの手術を行います。平成28年度は、CAPDカテーテル16症例、内シャント手術110症例、PTA(経皮血管形成術)45症例でした。
  7. キ.病院内各科、地域の各施設と連携をとり総合的な治療を行います。血漿交換療法や潰瘍性大腸炎患者等の血液浄化療法につき各科と連携、また近隣の医療施設と連携し、腎臓病患者の治療法の相談や、近隣の施設と患者の併診等をおこなっています。
  8. ク.地域の透析施設と年に4回ほど研究会を行っている。今後、臨床研究も行っていきたいと思います。

医師のご紹介

氏名 役職名 免許取得 認定医・専門医
平松 武幸 透析センター長兼
腎臓内科代表部長
昭和56年 日本腎臓学会・指導医
日本透析医学会・指導医
日本内科学会総合内科専門医
日本糖尿病学会・専門医
日本糖尿病学会・指導医
日本腎臓学会・専門医
日本透析医学会・専門医
緩和ケア研修会修了
臨床研修指導医講習会修了
古田 慎司 第一腎臓内科部長 平成5年 日本腎臓学会・専門医
日本透析医学会・専門医
日本内科学会・認定医
緩和ケア研修会修了
臨床研修指導医講習会修了
井口 大旗 腎臓内科医長 平成18年 日本腎臓学会・専門医
日本透析医学会・専門医
日本内科学会・認定医
馬渕 正綱   平成24年  
今井 健太郎   平成24年 日本内科学会・認定医
緩和ケア研修会修了
淺野 由子   平成26年 緩和ケア研修会修了
保浦 晃德 非常勤